「お義母さん。ここの電球?」
「あぁそうそう。宏海くん、わざわざごめんなさいね」
「いえいえ。どうせ、アトリエに来るし、気にしないで」
「有難うね」
「いえいえ」
昭和の時代の照明。丸い電球をくるくると回し、新しい物と交換する。LED照明が普及してからというもの、こういう行為をしなくなったな、と思う。少し黄ばんだ電気の傘。懐かしくて温かい気持ちになるのは、僕もそういう時代を過ごしてきた証なのだろう。
カナちゃんは、一人娘。少しずつ彼女は、この家の照明を買い替えている。電球の交換も心配になってきた頃から始めたらしいから、もうあと少しだ。一度に変えてしまうと寂しいだろう。キッチンは母の居場所だったから一番最後にする。彼女はそう言っていた。きっとそれも両親には伝えていない。こんな風に不器用で優しいのが、カナちゃんだ。
あぁそうだ。ここに来ることをカナちゃんに連絡していない。直接僕に連絡が来たから、多分彼女は知らないままだろう。一応、メッセージくらい送っておくか。
『電球切れたからって連絡もらって、カナちゃんの家に来たよ』
今の時間はまだ、彼女は診察中だろう。簡単なメッセージを送って、フゥと一息吐いた。どうせすぐに既読は付かない。
カナちゃんと結婚して、この家にはだいぶ一緒に来た。彼女は、親を安心させたかったのだと思う。きちんと夫婦のふりをして、仲良くやってるよ、と見せに来るのだ。それは僕の家にも同じ。ただ最近は、彼女よりもここに来ていると思う。アトリエからも近いから、義両親に呼ばれるのだ。忙しい娘をわざわざ呼ぶよりも、頼みやすいと思ってくれているのだろう。
「あぁそうそう。宏海くん、わざわざごめんなさいね」
「いえいえ。どうせ、アトリエに来るし、気にしないで」
「有難うね」
「いえいえ」
昭和の時代の照明。丸い電球をくるくると回し、新しい物と交換する。LED照明が普及してからというもの、こういう行為をしなくなったな、と思う。少し黄ばんだ電気の傘。懐かしくて温かい気持ちになるのは、僕もそういう時代を過ごしてきた証なのだろう。
カナちゃんは、一人娘。少しずつ彼女は、この家の照明を買い替えている。電球の交換も心配になってきた頃から始めたらしいから、もうあと少しだ。一度に変えてしまうと寂しいだろう。キッチンは母の居場所だったから一番最後にする。彼女はそう言っていた。きっとそれも両親には伝えていない。こんな風に不器用で優しいのが、カナちゃんだ。
あぁそうだ。ここに来ることをカナちゃんに連絡していない。直接僕に連絡が来たから、多分彼女は知らないままだろう。一応、メッセージくらい送っておくか。
『電球切れたからって連絡もらって、カナちゃんの家に来たよ』
今の時間はまだ、彼女は診察中だろう。簡単なメッセージを送って、フゥと一息吐いた。どうせすぐに既読は付かない。
カナちゃんと結婚して、この家にはだいぶ一緒に来た。彼女は、親を安心させたかったのだと思う。きちんと夫婦のふりをして、仲良くやってるよ、と見せに来るのだ。それは僕の家にも同じ。ただ最近は、彼女よりもここに来ていると思う。アトリエからも近いから、義両親に呼ばれるのだ。忙しい娘をわざわざ呼ぶよりも、頼みやすいと思ってくれているのだろう。

