メガネをはずしちゃいけません!



______音楽室




帝「……」


彩香「先輩、美奈の言ったこと、どうなんですか?」


帝「……」


彩香「本当に、”沙羅”さんを思い出すのが嫌で、メガネを外すなって言ってるんですか?」


帝「…俺は…」


……

____わからない。


”お言葉ですが先輩。どうして、美奈がミスコンに出てはいけないんですか?先輩に迷惑なんてかけてないですよね?”


____わからないっ…


”なんで美奈が人前でメガネを外す自由を、先輩に奪われないといけないんですか?そのことで先輩にどんな問題があるんですか?”


____わからないっっ…!


俺は、なんでこんなにも、
あいつにこだわるんだろうか。
たしかに、あいつは、沙羅に似ている。
でも、あいつは沙羅じゃない。そんなこと分かってる。




____”悪いけど帝は、分かってない”




あの日の、翔太の言葉が蘇る。
俺は、分かっていないのか…?
あいつのこと、俺はどう思ってる…?


彩香「………はぁ…重症だ…」


帝「…」


彩香「先輩、ダメですよもっとちゃんと考えなきゃ。過去になにがあったのか知らないですけど、今の先輩は、赤子とおんなじですよ。」


帝「…なんだと?」


彩香「自分の気持ちが分からない、理解しようともしない。そのくせ、心の奥底から湧き出る自分のわがままな感情は押さえないで垂れ流し。言葉を話せなくて駄々をこねる赤子と同じです。」

帝「………」

彩香「先輩が、美奈を誰と重ねようが知らないですけど、美奈を傷つけることだけは、私が許しません。」


帝「……」


彩香「それに……」


__スッ…


彩香「後から大事なことに気づいたとしても…あなたには勝ち目なんかありませんよ。」


指刺された方向を見ると、

帝「ッ…!」


あのガキ(相沢)が、美奈を追いかけて走っていく後ろ姿が目に入った。


彩香「先輩が、美奈を傷つけるだけ傷つけてる間に、相沢くんはちゃんと美奈を癒してきた。その現実を見て、どう感じますか?」


ッグッ…___


俺は、無意識にこぶしを握り締めていた。


彩香「そろそろ、時間も時間なんで、私は失礼しますね。」


”あ、それと、

美奈はミスコン、出ますから。”


ガラッ__…ピシャッ

___________
_______________……


俺だけが残された音楽室。
教室のドアが閉められた音が、やけに響いた気がした。