メガネをはずしちゃいけません!

帝「っ…」



私の言葉に、驚いたような、そして困ったような表情を向ける先輩。



あぁ…やっぱり…



美奈「そうですよね。嫌なことを、思い出しちゃいますよね。」


私は否定されてしまうんだ。


美奈「私の顔なんて、…見たくないですよね。」


別に、大嫌いな相手に嫌われるのはどうでもいい。
むしろ、せいせいする。



彩香「美奈…」


…はずなのに。


自分の”変わりたい“という本気を
否定されたような気がして。



”お前なんて、頑張っても不愉快だ”と言われたような気がして。


しかも、先輩は…山神帝は、私ではなく沙羅さんの幻影を探している。

私の存在すら、見えていない。私が消えてなくなったみたいだ。

少し前の自分なら平気だったような気がする。
どうせ、って流して諦めてそれで終わり。


でも今は違う。
本気で自分と向き合えば向き合うほどに、
否定されることが、つらいものだということを思い出した。



美奈「…すみませんでした。地味メガネがでしゃばって。」





___ダッ…




その場の空気に耐えられなくなった私は、
その言葉を残し、音楽室から駆け出していた。





___
______音楽室前廊下




相沢「…美奈と山神帝がデート ?…それに、沙羅って一体…」



3人の様子がどうしても気になってしまった俺は
音楽室の前の物陰で話を聞いてしまっていた。



しばらくすると



__ガタンッ


美奈が勢いよく音楽室から飛び出していった。



相沢「…!」


…そしてその目には、涙が浮かんでいた。


”追いかけなくては”



突発的にそう思い、
俺は無我夢中でその背中を追いかけていた。


デートってなんだよ。
あいつと美奈はどういう関係なんだ?
それに沙羅って人のことも…

聞かなければいけないことが山ほどある。
でも今は…


ただ、あいつのそばにいたい。