メガネをはずしちゃいけません!

__音楽室


ガラッ__



彩香「ここなら、昼休みだし誰もいないと思います。」


静まり返った音楽室。
嫌な緊張感が漂う。




帝「…で、改めて聞く。なんでメガネ女がミスコンにエントリーしてんだよ。」



…やっぱり、メガネを外して写真を撮ってることに怒ってる、みたいだ。



彩香「それは…美奈がかわいいからです。」


…うん。彩香よ。
あなたのそのブレないところ、ほんとに尊敬します。


帝「…ったくどいつもこいつも…」


彩香「え?」


帝「なんでもねぇよ。」


この前、先輩とデートしたとき、
たしかに、”もう約束破るなよ”って言われてた…。

…メガネを外した私の姿を、周りに見られたくないから、とも…。


でも本当は…___


私は次に浮かんだその言葉を飲み込んだ。
だって、先輩は、私が先輩の過去を知っていることを、
知らないから…。



___沙羅さんを思い出すから、嫌なんじゃないか。



そんな言葉、口が裂けてもぶつけられない。


美奈「…」


それに、もし、本当にそうだったら…と思うと、
自分のせいで誰かが嫌な思いをするのかと思うと、
どうしようもなく、つらい。


彩香「…」



__ドンッ



美奈、帝「!?」



突然、彩香が大きな足音を立てて
私の一歩前に出た。


彩香「お言葉ですが先輩。どうして、美奈がミスコンに出てはいけないんですか?先輩に迷惑なんてかけてないですよね?」


聞いたこともないような
鋭い声色で、彩香がそういった。


その迫力に、気圧される先輩。


帝「…それは…。俺はそいつに、メガネを外すなって言ってんだ。この前の俺とのデートのときにも釘を刺したはずだ。それ以上でも以下でもない。」


彩香「だから、なんで美奈が人前でメガネを外す自由を、先輩に奪われないといけないんですか?そのことで先輩にどんな問題があるんですか?」


彩香は引かない。



彩香「美奈がどうしようと、先輩には関係ないじゃないですか。」


その言葉を聞いた瞬間、
先輩が目を見開いた。



帝「関係ないわけねぇだろっ!」



美奈、彩香「…!」



帝「ごちゃごちゃうるせぇんだよ…」


今にも消えてしまいそうな声でそう呟く。
その姿を見て、私は、もう耐えられなくなっていた。



美奈「……先輩。__」


…言葉にせずにはいられなかった。
本心を聞かずには…いられなかった。

その答えで自分がどんなに傷つくかわかっていたとしても。






美奈「私が……沙羅さんに似てるのが、そんなに嫌ですか。」