「……まあ、気をつけろよ」

「うんっ。花火までに帰ってくるね〜!」



そう、私は立ち上がって走った。



「ねぇ士綺クン、いいの? “アイツ”逃走してんのに」

「ここまで来ねぇだろ。総出で捜してればすぐ見つかる」

「まあね。玲音クン、情報はまだ?」

「まだだ。───久瀬日向はまだ見つからない」

「ホント、なんでだろ。ちゃんと鍵かけてたはずなのに。───逃亡するなんて」



───そんな会話が繰り広げられていたなんて、知る余地もなかった。