そんな感じでなぜか奢ってもらうことになった。

私は別に奢ってもらわなくたって良かったんだけど……。



「つーちゃん? どーした?」



そんな回想をしていると、憐夜くんに心配の目を向けられた。



「ううん。なんでもない。でも、やっぱり奢ってもらうのは……」

「何〜? 総長である士綺クンがいいって言ってるんだもん。いいんだよ〜」

「ええ……」



かなりの暴論に聴こえる……。

それより、そろそろ花火が始まる頃。



「憐夜くん、私お手洗いに行ってくるね」

「ん? 分かった〜」



このお祭りの花火はすごく綺麗な分、長いらしいから、先にお手洗いをと立ち上がった。



「椿月? どこ行くんだ?」

「あ、お手洗いに行ってくるね」



士綺くんにそう伝えると、士綺くんは急に真剣な目付きになった。



「……椿月、気をつけろよ」

「気をつける? もちろん、迷子にならないようにするからっ」



それに、もう子供じゃない。

そう伝えると、士綺くんは目を伏せた。