────── あぁぁん!?


「……あ?お前、なんで持ってんだよ。誰と使いやがった。あ?言えよ。相手は誰だ、殺すぞ」


洗濯物を畳んでいる七瀬の目の前にしゃがんで、ガンを飛ばすと鼻で笑われた。


「何言ってんの?あんた。そこの棚、開けてみてー。たくさん入ってるから」

「ああ、そうかよ!!」


ガンッ!!と棚を開けると、そこに入っていたのは大量のゴムだった……そう、髪の毛を縛る“ゴム”がな。


「好きなの使っていいよ~」

「いや……うん、いいわ」

「そ?あ、九条」


振り向くと俺の後ろに七瀬が立っていた。

引き寄せて、キスしようとすると……ベチ!!と何かを顔面にぶつけられた。


「はい。これがご褒美」

「…………は?」

「え?」

「はあ?」 

「だって、好きでしょ?少年誌。あんたが絶対に喜ぶと思って~。あ、安心して?今日発売されたやつだから!!まだ読んでないでしょ?読んだら?」


こんの女……マァジで腹立つわ。


────── でも、可愛くてたまらん。


「サンキュー」

「いえいえ。……ねえ、九条」

「ん~?」

「ありがとう」

「あ?なにが~?」 

「色々と」


俺にニコッと微笑んでくる七瀬。

────── なんでこうも愛おしいかね。


「なんだお前。無駄に可愛いのやめてくんね?我慢すんのキツいんで~」

「……さぁて、勉強でもしよ~っと」


七瀬が分かりやすく話を逸らしたのは言うまでもない。 おしまい