「モネ、ごめん…ごめんね、大好きだよ…大好きなの…」

「うん。知ってる」

「私のそばに居て欲しい。居なくならないで」

「そんなこと言ってないじゃん。ずっと…親友だよ」

「ごめん…ごめんなさい…」

「だから聞きたくないってば!でも…受け止めてくれてありがと。避けられることが一番怖かったから」

モネに抱きついたら、体調が悪いのはモネなのに優しく背中を撫でてくれた。

モネの本音を知ってなお、そばに居てくれと言う私は最低かな。
モネを失うなんて考えられない。

その気持ちには応えられないのに自分の気持ちだけを優先してモネを縛りつけている。
最低だって言われてもしょうがないと思う。

それでもモネは私を責めなかった。
私の背中をぽんぽんってしながら「信じてくれてありがとう」って言った。

泣きたいのはきっとモネのほうなのに「泣き虫だなー」って言いながらずっと私の背中を撫で続けた。

モネの風邪は移らなかったし、その日からもずっと私達は親友だった。

モネは相変わらずスキンシップが多めで、何も変わらないで居てくれるモネに安心してしまう私は、きっと最低なんだろう。

本郷 カナデを中心にそれぞれの恋が終わっていく。
彼が意図したことではないけれど、何かに仕組まれているかのような失恋達が、まるで私と本郷先輩を結びつけているようで、
これが「運命」だと言われたら、私は抗えそうになかった。

運命なんて陳腐な言葉を強く感じてしまうのは、私の感情の真ん中に本郷先輩が棲みついていることを、もう誤魔化せそうになかったから。