毎日規則正しく同じように学校中に響くお昼休憩前のチャイムの音。

それと同時に一気にザワつき始める教室の中。


椅子の動く音と、生徒達の話す声が一斉に聞こえるこの少し耳を塞ぎたくなる瞬間が私は嫌いだ。


高校1年生の春。


私、宮瀬遥(みやせ はる)は入学してから1ヶ月経つというのにまだ友達が出来ていなかった。


「はあ…」


重く深い溜め息がでる。


これじゃ、普通に平凡にどころがそれ以下で生きることになるよ…。


とりあえずお友達を作ろう。


「…私も一緒にお弁当食べてもいい?」


そう小さく呟き、何度も練習した。
高鳴る鼓動を抑え、近くで仲良さそうに集まっている女子生徒達に近付いた。


「あ、あの…!わ、私も一緒に…いいかな…?」


さっきの練習など何の意味も持たず、勇気を振り絞りだしてでた声はとても情けなく震えて小さかった。



「あ、宮瀬さん…。ごめんね!うちらこれからみんなで購買で食べるからお弁当じゃないんだ〜。」


ごめん!と手を目の前で合わせられ、その子達は楽しそうに話しながら教室を出てしまった。


「…私も一緒に連れていってくれてもいいじゃん。」


そう誰にも聞こえない声で私は呟いた。


そんな時、クラスの男子生徒の声が耳に入った。


「なあ!部活見に行こうぜ!」



そうだ、部活。


まだ部活という手段がある…!


モノクロになりかけていた私の学生生活に1つの光の筋が見えた。