「問題っていうか、“お姫様”がどういう意味だか、

わたし、全然わからないんだけど……」

「なにを今さら不安がっている?」

「だって……、暴走族の“お姫様”って、なんか

酷いことされそうで……、怖い」

すると。

琉叶はスタスタとこっちへ戻ってきて。

わたしの目の前でピタリと止まった。

そしてーー。

ちゅ、と軽いリップ音が鳴る。

琉叶の顔が離れていくと同時に。

わたしは今、キスされたんだと理解するとーー。

体中が熱くなり、全身の血が沸騰した。

「……な、ななな、なにやってるの!!」

「フッ、真っ赤になってムキになってる翼、かわいいな」

「かわいくなんてない!!」

琉叶は、再びわたしの顔を覗き込む。

そして囁くように言った。

「“お姫様”っていうのは、総長の恋人って意味だ」

「……、え?」

「だから、こういうコトするのが普通なんだよ」

「……、っ」