「着いたぞ」

バイクに揺られること20分。

バイクが目的地にやっと止まった。

わたしは地面にストンと降りる。

「ここは……?」

「俺のアジト」

わたしは今いる広い駐車場を見渡したあと。

目の前にそびえ立つ、古いビルに目をぱちくりさせた。

ビルは、けっこうな高さがある。

星も月もない漆黒の空にーー。

まるで突き刺さっているみたいだ。

「行くぞ」

バイクのキーを持って、スタスタと先へ行く琉叶。

「え、ちょ、待って!」

「なんだ?」

「わ、わたしがビルに入ったら、もう今宵魔の人間って

ことになるんでしょ……!?」

「は? お前はもう既に今宵魔のひとりだぞ」

「……へっ!?」

わたしは思わず間抜けな声が出た。

そして、恐る恐る琉叶に問いかける。

「もしかして……、わたしが琉叶の“お姫様”に

なったから……?」

「そうだが。何か問題でもあるのか?」