君と二度目の恋に落ちたら

そんな沈黙を破ったのは前野くんだった。

「僕はまだまだお父さんのように力はないかもしれませんが、僕がお嬢さんを守っていきます!」

父は前野くんの言葉を聞いて一瞬口元を緩めたかと思いきや、相変わらずな態度で「君にお父さんと呼ばれる筋合いはないね」とむくれた顔で言い放つ。

だけど、前野くんはひるまずに真っ直ぐ父の顔を見ていた。

「だいたい、君は俺からするとぽっと出の奴だからね。本当にゆりあを守ることができるのかね?」

「守ります!幸せにします!」

前野くんは真剣な表情で答えるが、私にはそれがまるで結婚の挨拶のように感じられ、恥ずかしくていたたまれない気持ちになった。

「今は…さえちゃん、お母さんがいるから何も心配ないと思っているからこそ、ゆりあのことを送り出せるんだけどね。君のことはまだまだ信用してないからね」

「お父さんっ!」

あまりにも言い過ぎだと、父を窘めようとしたが父は構わず言葉を続ける。

「けど、やれるもんならやってみな!ゆりあのことを少しでも悲しませたらただじゃおかないからな!ゆりあは俺の大事な娘なんだから!」

「覚悟はできています」

「っけ。何も知らん小僧のくせに…」

むくれた顔をしていた父の表情は、言葉とは裏腹に段々と柔らかい表情へと変化していた。

私は前野くんの手を取り、「ありがとう」と呟いた。それを見た父は悔しそうな顔をしていたが、私は小さく声を漏らして笑った。