僕は自分の無力さを痛感しながらも、何もせずにはいられなくて、彼女が来ない自販機のもとへ足繫く通った。夏休みの間は、学校全体では人が少ないが、自販機のある校舎では吹奏楽部が練習をしていたので、楽器の音が鳴り響いていた。
チューニングをする音だったり、演奏する音をボーッと聞きながら、平松さんがここへ来るのを待った。それしか僕にはできなかった。
しかし、夏休みももうすぐ終わりに近づいてきたある日、文化祭の準備終わりにいつものように自販機の近くにある椅子に腰かけていると、ある女子生徒から急に声を掛けられた。
「あの…もしかして、前野くんですか…?」
僕は一瞬戸惑ったが、すぐにその人が体育の授業の時によく平松さんと一緒にいる子だと認識できた。
「そうです…」
「そっか、やっぱり…。あ、急にごめんなさい…私、ゆりあの友達の柏原もかっていいます。ゆりあから前野くんの話聞いてて、最近部活してる時にあなたをよくここで見かけるから、もしかしてって思って…」
何をするわけでもなく、ここにずっと座っていたら確かに目立っていたかもしれないなと思った。だが、柏原さんという人は怪しむ様子はないようだった。
「急に申し訳ないんですけど、このあと時間ありませんか?ゆりあ…本当はずっとここに来たかったはずなんです…。けど、あんなことになっちゃって…来られなくて…」
柏原さんは涙を堪えながら言葉を続けた。
「もしよかったら、このあと一緒にゆりあに会いに来てほしくて…ダメですかね…?」
「いえ、行かせてください」
僕は彼女の提案に間髪入れずに答えた。彼女に僕が会いに行ったからといって、何ができるわけではないかもしれないが、できることはなんでもしたいと思っていた。
チューニングをする音だったり、演奏する音をボーッと聞きながら、平松さんがここへ来るのを待った。それしか僕にはできなかった。
しかし、夏休みももうすぐ終わりに近づいてきたある日、文化祭の準備終わりにいつものように自販機の近くにある椅子に腰かけていると、ある女子生徒から急に声を掛けられた。
「あの…もしかして、前野くんですか…?」
僕は一瞬戸惑ったが、すぐにその人が体育の授業の時によく平松さんと一緒にいる子だと認識できた。
「そうです…」
「そっか、やっぱり…。あ、急にごめんなさい…私、ゆりあの友達の柏原もかっていいます。ゆりあから前野くんの話聞いてて、最近部活してる時にあなたをよくここで見かけるから、もしかしてって思って…」
何をするわけでもなく、ここにずっと座っていたら確かに目立っていたかもしれないなと思った。だが、柏原さんという人は怪しむ様子はないようだった。
「急に申し訳ないんですけど、このあと時間ありませんか?ゆりあ…本当はずっとここに来たかったはずなんです…。けど、あんなことになっちゃって…来られなくて…」
柏原さんは涙を堪えながら言葉を続けた。
「もしよかったら、このあと一緒にゆりあに会いに来てほしくて…ダメですかね…?」
「いえ、行かせてください」
僕は彼女の提案に間髪入れずに答えた。彼女に僕が会いに行ったからといって、何ができるわけではないかもしれないが、できることはなんでもしたいと思っていた。

