ざわざわとした気持ちを抱えながら、次の日を迎え、僕は自分のクラスに行くよりも先に2組の教室に向かった。
10時前に到着したのだが、2組の教室内は少しざわついていた。教卓のところに人が集まり、何やら話し合いをしているようだった。
僕が教室のドアのそばで立ち尽くしていると、2組の僕と顔見知りの男子生徒がこちらに気が付き「誰かに用?」と声を掛けてくれた。
僕は恐る恐る尋ねる。
「平松さんって…今日、来てる?」
そう尋ねると、その人は気まずそうな顔をして小さな声で教えてくれた。
「実は、昨日近くで事故があったじゃん?平松さんのお父さんが事故に巻き込まれて、亡くなったんだよ…。だから、昨日から来てないんだよ」
「…嘘だろ……」
思い違いであってほしかったことが、現実として起きてしまっていた衝撃に僕はひどく動揺した。
「平松さんと仲良かったうちのクラスのやつが今、平松さんのそばに付き添ってるみたいだけど、かなりショックを受けてるって話だから、しばらく来られないんじゃないかな…」
僕はどう言葉を返したらよいのかもわからず、「わかった…」とだけなんとか声を振り絞って出し、2組の教室を後にした。
彼女は――平松さんはいつも笑っていた。そんな彼女が今置かれている状況を考えると胸が押しつぶされるような気持ちになった。こんな時、僕は無力だった。
近くで起きた事故が同じ学校の生徒の父親であったこと、そしてその生徒が平松ゆりあさんであるということは瞬く間に学校の生徒たちの間で広まっていった。
皆が彼女に対する同情を示していた。だが、その彼女が夏休み中に学校に姿を現すことはなかった。夏休みの前半のうちに2組は劇の主役を交代するらしいという話が出回っていた。
10時前に到着したのだが、2組の教室内は少しざわついていた。教卓のところに人が集まり、何やら話し合いをしているようだった。
僕が教室のドアのそばで立ち尽くしていると、2組の僕と顔見知りの男子生徒がこちらに気が付き「誰かに用?」と声を掛けてくれた。
僕は恐る恐る尋ねる。
「平松さんって…今日、来てる?」
そう尋ねると、その人は気まずそうな顔をして小さな声で教えてくれた。
「実は、昨日近くで事故があったじゃん?平松さんのお父さんが事故に巻き込まれて、亡くなったんだよ…。だから、昨日から来てないんだよ」
「…嘘だろ……」
思い違いであってほしかったことが、現実として起きてしまっていた衝撃に僕はひどく動揺した。
「平松さんと仲良かったうちのクラスのやつが今、平松さんのそばに付き添ってるみたいだけど、かなりショックを受けてるって話だから、しばらく来られないんじゃないかな…」
僕はどう言葉を返したらよいのかもわからず、「わかった…」とだけなんとか声を振り絞って出し、2組の教室を後にした。
彼女は――平松さんはいつも笑っていた。そんな彼女が今置かれている状況を考えると胸が押しつぶされるような気持ちになった。こんな時、僕は無力だった。
近くで起きた事故が同じ学校の生徒の父親であったこと、そしてその生徒が平松ゆりあさんであるということは瞬く間に学校の生徒たちの間で広まっていった。
皆が彼女に対する同情を示していた。だが、その彼女が夏休み中に学校に姿を現すことはなかった。夏休みの前半のうちに2組は劇の主役を交代するらしいという話が出回っていた。

