君と二度目の恋に落ちたら

その日の夕方、リビングでぼんやりとテレビを眺めているとローカルのニュース番組が始まった。

一番最初に流れたのは今朝起きたというあの事故のことだった。僕は少し前のめりになってニュースを聞いた。やはり、地元で起こったことは気になるものだ。

『今朝、○○市の歩道にトラックが突っ込んでいるという通報を受け、警察と救急隊が駆け付けたところ、△△市に住む××さんが運転していたトラックが歩行者を巻き込んで歩道に乗り上げているのが確認されました』

地元の名前が出てきたので、台所にいた母親が「まあ、近くじゃない…怖いわね…」と言いながらテレビの近くにやって来た。

『トラック運転手と歩道を歩いていた○○市に住む会社員の平松康平さんが重傷を負い、病院に運ばれましたが、平松さんは間もなく死亡が確認されました』

僕は息を飲んだ。「平松」という苗字にまさかと思った。

『警察はトラック運転手の居眠り運転が原因と見て捜査を行っています』

アナウンサーはそう告げ、すぐに別のニュースを読み上げはじめた。

僕は放心状態になり、母親が何か言っていたが全く耳に入って来なかった。事故に巻き込まれた平松さんが彼女と関わりのない人であってくれと願った。

だって、もし彼女と関わりがあるとすれば…あんまりじゃないか…。

「弘人も車には気を付けるのよ!」

僅かに母親の自分への言葉が耳に入り、僕は力なく「わかってるよ」と答えた。