君と二度目の恋に落ちたら

私は普段ならその場で「いってらっしゃい」と言うだけで済ましているような気がするが、妙な胸騒ぎがまた強くなってきたからか、リビングから玄関の方に出て、父の出ていく姿を見送ろうとした。

靴を履いた父は私の存在に気が付いたのか、振り返ってこちらを見た。

「おお、ゆりあ…見送りしてくれるのか…なんだか小さい頃を思い出すな~」

急いでいるくせに父はほのぼのと昔のことを思い出しているようだった。呑気そうな父の顔を見て、私はいつもならば「何してるの、早く行きなよ」と言っているところにも思えるが、そんな言葉は出てこなかった。

「…車、気を付けてね」

まるでいつもの父の言葉のようだった。

父はにやけた顔が少し真顔になったように見えたが、一瞬のことですぐに笑って見せた。

「わかった、気を付けるよ。ありがとうな」

そう言って父は玄関の外に出た。私の胸騒ぎは加速する一方だった。

この自分でもわからない感情に耐え切れなくなった私はもう一度自分の部屋に戻って、ベッドで横になることにした。

1人の静かな部屋では、どくどくという自分の鼓動がとても強く感じ取られた。

この静寂さは1時間経っても変わらなかった。静寂が保たれていることに、私はだんだんと安心感を感じてきた。

これは一体どういう感情なのかはわからないが、私はようやく起き上がることができ、学校に行く支度を始めた。