君と二度目の恋に落ちたら

宇宙人の役などは興味本位でやりたいと名乗り出た人に決まったりとわりとスムーズに決定していった。だが、残すは主役のシンデレラだ。みんな主役は気が引けるのか、誰も手を挙げない。

私を含め、大半の子は役をもらうより、裏方で照明や小道具などの役回りを担いたいと思っている人が多いようだ。

目立つことを買って出る人たちは大体もう何かしらの役に立候補している。

「うーん…シンデレラやりたい人いないの?」

学級委員長が嘆く。委員長はすでに「意地悪な継母」に立候補していた。

誰も手を挙げないことにしびれを切らし、これまで立候補制だったが、推薦したい人はいないかという聞き方をした。

教室内が少しざわざわした後、静かになったかと思いきや、私はなんとなく視線を感じたような気がした。一方ではなく、多方から向けられているようだった。

恐る恐る見渡すと確かに何人かがこちらを見ているようだった。嫌な予感がする。

「やっぱり、主役はお姫様が似合いそうな人がいいと思うんだよね」

「注目されて優秀賞獲りたいし…」

クラスメイト達の声がはっきりと聞こえてくる。

すると、学校で私が一番よく聞く声が「はーい!ゆりあを推薦します!」と元気よく言った。私は勢いよく声の主の方を向き「もか!」と困惑の声を上げた。

もかはニコニコしながらこちらを見ていた。だが、私は劇の主役なんて私に務まるわけがないと思っていた。

しかし、クラスの雰囲気は私にNOと言わせないようなものだった。なんて居心地が悪いんだ…。

そして決め手は委員長と脚本の子の懇願するような「いいかな…」という表情だった。私はいたたまれなくなり、渋々首を縦に振った。