もかの推測があながち、いやほぼ間違っていないだろうと私自身も思えたので思わず吹き出してしまった。
「もか、よくわかってるね。めっちゃ想像がつく」
「いや~、ゆりあのお父さん…娘のことが大好きないいお父さんだよね」
もかとは小学生の頃から仲がいいので、家や学校の行事で私の父とは何度も顔を合わせている。
私の中で特に印象が残っているのは小学生の頃の運動会のことだ。父は私の運動会を何日も前からずっと楽しみにしていて、当日もものすごく張り切って、眺めの良さそうな場所を朝早くから陣取り、カメラを構えて私の撮影に勤しんでいた。
もかはそのことから「ゆりあのお父さん、なんかすごいね」と言っていたが、運動会が終わってから私の家族ともかの家族で一緒にファミレスに食事に行った際にも父の熱量は冷めることなく、「いや~、娘の成長をひしひしと感じられて…もう…」とじんわりと涙を浮かべながら語られた時のことは本当に今でも忘れられない。
もかの両親も父の感じたことに同意を示していたが、私は人前で涙まで浮かべて語られるのはたまったものではないと思った。もかもそういったエピソードを目の当たりにしているからこそ、父があの男の子のことを知った時のことを想像できるのだろう。
「まあでも、ゆりあのお父さんには娘はすくすく成長していっているんだと理解してもらおう!」
「そうだね」
2人で笑いあい、それから少し他愛もない話をして、時間も遅くなってきたねと言って通話を終えた。
もかとの通話を終えて、少し忘れかかっていたが父が私に用があったんだったと思い出し、リビングへと向かった。
リビングに入ると父はソファに腰を掛けてテレビを見ていた。そんな父に私は「さっきは何の用だったの?」と声をかける。
「お、ゆりあ!さっきは電話してるところに悪かったな…用事といっても大したことじゃなかったんだけど…」
そう言いながら父はダイニングテーブルの方まで歩いて行き、そこに置いてあった小さな箱を手に取った。
「ほら、これ…この前ゆりあがテレビで紹介されてて「美味しそう」って言ってたお菓子があっただろう?今日の仕事帰りにコンビニに寄った時にたまたま見つけたから買っておいたんだが、渡すのをすっかり忘れててな…」
父からそのお菓子の小さな箱を受け取り、私は小さく笑いをこぼした。よくそんな些細なことを覚えていたな…。
「ありがとう。明日もかと食べるよ」
私がそういうと父は満足そうに笑った。そして、元いたソファへと戻ってまたテレビを見始めた。父は私の言ったことや母の言ったことを本当によく覚えている。そして、興味を示したものなどをこうやって見かけた時に買ってきてくれたりする。なんともマメな人だ。
ファザコンだとは思いたくないが、父のことは本当に尊敬していて好きだ。母の幸せそうな姿を見ると、結婚するならこういう人とすると幸せになれるんだろうなとたまに思うことがある。
もかに言われるまで父のこととあの男の子のことを結び付けて考えたことはなかったが、そう考えてみるとほんの少しだけ父に罪悪感のようなものを感じなくもない。しかし、ほんのりでもそう感じられることもまたより一層あの男の子への感情が濃くなるように思える。
少し父と同じ空間にいることが耐えがたく感じられ、私は父から受け取ったお菓子を持って自分の部屋へと戻っていった。
「もか、よくわかってるね。めっちゃ想像がつく」
「いや~、ゆりあのお父さん…娘のことが大好きないいお父さんだよね」
もかとは小学生の頃から仲がいいので、家や学校の行事で私の父とは何度も顔を合わせている。
私の中で特に印象が残っているのは小学生の頃の運動会のことだ。父は私の運動会を何日も前からずっと楽しみにしていて、当日もものすごく張り切って、眺めの良さそうな場所を朝早くから陣取り、カメラを構えて私の撮影に勤しんでいた。
もかはそのことから「ゆりあのお父さん、なんかすごいね」と言っていたが、運動会が終わってから私の家族ともかの家族で一緒にファミレスに食事に行った際にも父の熱量は冷めることなく、「いや~、娘の成長をひしひしと感じられて…もう…」とじんわりと涙を浮かべながら語られた時のことは本当に今でも忘れられない。
もかの両親も父の感じたことに同意を示していたが、私は人前で涙まで浮かべて語られるのはたまったものではないと思った。もかもそういったエピソードを目の当たりにしているからこそ、父があの男の子のことを知った時のことを想像できるのだろう。
「まあでも、ゆりあのお父さんには娘はすくすく成長していっているんだと理解してもらおう!」
「そうだね」
2人で笑いあい、それから少し他愛もない話をして、時間も遅くなってきたねと言って通話を終えた。
もかとの通話を終えて、少し忘れかかっていたが父が私に用があったんだったと思い出し、リビングへと向かった。
リビングに入ると父はソファに腰を掛けてテレビを見ていた。そんな父に私は「さっきは何の用だったの?」と声をかける。
「お、ゆりあ!さっきは電話してるところに悪かったな…用事といっても大したことじゃなかったんだけど…」
そう言いながら父はダイニングテーブルの方まで歩いて行き、そこに置いてあった小さな箱を手に取った。
「ほら、これ…この前ゆりあがテレビで紹介されてて「美味しそう」って言ってたお菓子があっただろう?今日の仕事帰りにコンビニに寄った時にたまたま見つけたから買っておいたんだが、渡すのをすっかり忘れててな…」
父からそのお菓子の小さな箱を受け取り、私は小さく笑いをこぼした。よくそんな些細なことを覚えていたな…。
「ありがとう。明日もかと食べるよ」
私がそういうと父は満足そうに笑った。そして、元いたソファへと戻ってまたテレビを見始めた。父は私の言ったことや母の言ったことを本当によく覚えている。そして、興味を示したものなどをこうやって見かけた時に買ってきてくれたりする。なんともマメな人だ。
ファザコンだとは思いたくないが、父のことは本当に尊敬していて好きだ。母の幸せそうな姿を見ると、結婚するならこういう人とすると幸せになれるんだろうなとたまに思うことがある。
もかに言われるまで父のこととあの男の子のことを結び付けて考えたことはなかったが、そう考えてみるとほんの少しだけ父に罪悪感のようなものを感じなくもない。しかし、ほんのりでもそう感じられることもまたより一層あの男の子への感情が濃くなるように思える。
少し父と同じ空間にいることが耐えがたく感じられ、私は父から受け取ったお菓子を持って自分の部屋へと戻っていった。

