早朝五時から朝八時までの臨時アルバイトを終えて。
 ミリアは早速、弁当作りに取り掛かっていた。

「さて、[白身魚のガーリックバタームニエル]、作っていきますか」

 そう言うと。

 茶色いエプロンを身に(まと)い、ミリアは先ず、魚の白身の水気を白いタオルで優しく吹き取っていく。
 それから、魚に塩と胡椒を振り、数日前に買った薄力粉をまぶす。

「次は、ニンニクとパセリだけど……」

 そう呟くと、ミリアは[冷蔵保管庫]の中からパセリとニンニクを取り出す。
 それから、ニンニクを薄くスライスし、真ん中の芽を取り除く。

「見た目も美味しく見せる為に、パセリも刻まないとね」

 そう言うと、ミリアはパセリを一房掴み、それを細かく刻んでガラスの小さな器に入れる。

「よし、下準備完了! 次は、魚を焼くんだけど……まずはニンニクね」

 ミリアはオリーブ油を少し入れると、その中にニンニクを投入する。
 火を弱火にして、こんがり茶色くなるまで炒めていく。
 
 すると、直ぐにニンニクの食欲をそそる香りが部屋中に充満していく。

 ミリアは満足そうに微笑むと、ニンニクを取り出し、そのまま白身魚を投入した。

「ここは少し火力を上げなきゃね」

 コンロの強さを[中]に合わせ、ミリアは白身魚の裏表を丁寧に焼いていく。
 その間に、シメジもついでに投入し、茶色の焦げ目が全体的に付くまで魚を焼いていく。
 そして、魚に美味しそうな焦げ目が付くと。
 ミリアはバターとパセリを投入し、それを魚とシメジ全体に絡ませていく。

 そして、ある程度絡んだことを確認すると、サッと火を止めた。

「さて、お味の方はどんな感じかな」

 ミリアは魚の端の方を少しフォークで切り取ると、それを躊躇うことなく自分の口の中へと運ぶ。
 そして、はふはふと口を動かすと、ミリアは満面の笑みを浮かべてこう言った。

「うーん、美味しいー! [白身魚のガーリックバタームニエル]の完成ね!」

 そう言うと、ミリアは[冷蔵保管庫]の中から、サニーレタス、プチトマトを取り出した。
 そして、それを水洗いすると、その中のサニーレタスに手を伸ばし、それを手でちぎっていく。
 
「このサニーレタスをこの木で出来たお弁当箱の中に敷き詰めて……」

 それから、サニーレタスを敷き詰めた弁当箱の中に、白身魚を盛りつけていく。
 さらに、シメジのソテーと仕上げにプチトマトを隙間に詰める。

 こうして、仕上がった弁当箱を見つめながら。
 ミリアは満足げにこう言った。

「全体的な彩も上手く行ったし……うん、良いかも」

 そう言って微笑むと。
 ミリアは更に腕まくりしてこう言った。

「次は、主食のバケット作らないと。ゆで卵作って、マヨネーズと胡椒を出して……あ、バケット……! どうしよう、後で買って行けばいいかな……」

 こうして、ミリアのお弁当作りは[武術大会]ぎりぎりまで続くのであった。