「あっ、先輩はっけん!いたいたっ!いたよりっちゃん!!」
「……汗臭そうすぎてえっぐ」
「んなっ!なにを言うんだもうっ!!!ひどいっ!りっちゃんひどすぎる……!!」
「…半分ジョーダン」
ねえ真琴、やっぱあんなののどこがいいんだよって思うよ。
柔道してる姿はたしかにマシに見えるかもだけど、実際のとこ分かんないじゃん。
すごいマザコンとかだったらどーする?
毎日お母さんの膝の上で耳かきしてもらってたりしたらキモいってさすがに。
………って思わないとさ、私のなかで嫌な奴になってくれないんだってば。
「…かっこいいなあ……」
私の隣、頬を赤く色付かせて真琴は何度もつぶやいていた。
好きになったヤツにはそんな顔をして、そんなことを言うんだ。
わざわざ地獄を味わいに来るなんて、私ってほんとすごいよなあ。
えらい、よく頑張ってるわ。



