最低なことを言った。
人として、言ってはならない言葉を私は口に出した。
それだけはどんな場面だったとしても、どんなに感情的になっていたとしても、言ってはならなかった言葉だ。
「……死ねって、言って……、ごめん…なさい」
「…………」
「たぶん、いやぜったい…藍さんが死んだら……私は悲しいと思うんで…」
ぽっかり心に穴が空くと思う。
自分のことを唯一わかってくれようとしている相手で、気持ちを隠さなくていい唯一。
失ったら、たぶん、きつい。
「………許さなくていいです。こんなヤツなんですよ、私は。可愛げもなければ口も悪い、男に生まれたほうが───」
「ごめん」
ごめんって、なんだ。
なにに対しての“ごめん”だ。
真琴を先に帰らせたこと?
騙すように私を呼び出したこと?
まあ、ちがいますよね。
「─────………」
唇をこんなふうに同じもので塞いでまで、私の精いっぱいの謝罪を止めやがったことだ。



