周りと同じではない。
一般論からはかけ離れている。
反対に吹っ切れて生きている人間からすれば、大したことではないのかもしれない。
でも私にとっては大切にしたい気持ちだ。
伝わらないこと含めて、誰にも言えないこと含めて、これが私の恋なんだって。
「……やべ、語りすぎた」
「ぶっは!!」
「…………」
吹き出したうっちー。
この先生のツボは私もよく分かってない。
「…かなりいい話のつもりだったんですけど」
「もちろんだ。あたしもなるほどなって聞いてたよ」
うそつけ。
だったら笑いにはしないんだよ。
まあでも、それくらいのほうが気楽ではある。
「恋ってより、それはもう愛じゃないか瀬戸」
「……愛?」
「それ以上を望めなくとも、それ以上は叶わなくとも。ただ知って欲しいだけなんだよな。好きな子に、自分の気持ち」
そろそろ授業に戻ってやるかとドアを開けようとした手が、私に贈られるにはやさしすぎる言葉を耳にして。
「それともう1コ。瀬戸、あたしがこういった話を生徒としたのは───初めてじゃない」
─────震えた。



