「わりと学校内で騒がれてたのよ、あたし。ほら顔も男顔だし、ずっとショートヘアでジャージっ子。…まさに今の瀬戸がもうちょい身長伸びたみたいな感じな」
「…へえ」
ここ最近でいちばん興味を持った。
退屈に流れていく時間のなかで私だけが取り残されている気持ちだったけど、なぜかここに手を引こうとしてくれる人間がいるような。
「そんなあるとき、バスケ部のマネージャーしてた後輩ちゃんから告白されちゃってね」
「……よく…、付き合えました、ね」
「そこよ。逆にね、わからなかったから付き合ってみたんだ」
なんとも内野先生らしい解答だと。
このサバサバ感がクセになるってか、いまの私の立場だからこそ言えることは。
異性と同性の両方から好かれるタイプって、たぶんこの人みたいな人間なんだと思う。
「何事も迷うならとりあえずやってみろ、みたいなこと言うだろ?ただ、当時のあたしのその選択は……いま思えば悪いものじゃなかったな」
「……でも結局、別れたんでしょ」
「それがさー、これがまた面白いのよ。聞く?」



