「髪もバッサリいったのはそのためかい」
「ああ…、いや、別にやろうとしてるわけじゃなく。なんかたまたま駅で配られてて、」
「ふうん。空手教室の募集広告なんか、建物に飾ってある以外はあんま見ないけどなー」
極真空手って書いてあったぞ───、
「なかなか本格的じゃないか。かっけえ」
「…………」
おまえは柔道をやれ、柔道を。
そいつに対抗したいなら空手じゃないだろ馬鹿が。
私のことをよく知ってる人間だったならそう言ってくるんだろうけど、私としては柔道だけは嫌だと頑なな決意だった。
てか、やるって決めたわけじゃないし。
情報集めのひとつとして見てただけ。
「…こう、身体よりかは心?みたいなものが鍛えられんのかなーって」
「あー、よく言うよねー。でもそれだったらあたしは山とかに登るわ」



