「ショートヘア!!すっっごい似合っちゃってる!!」
とくに伸ばしているわけでもなかったミディアムヘアは、あっさり切ってしまうことができた。
大変だったよ。
あのあとすぐに入れそうな美容室を予約して、店員さんからすればだいぶ厄介な客。
「ねえお兄ちゃん見てっ!りっちゃんすごいかわいくなっちゃった!!」
朝からテンション高めな妹の声につられたのか、和泉家から続いて出てきたそいつ。
パチッと合わさった目を当たり前のように逸らす。
「…そっちもいーね」
「だよねえっ!……あれれ?でもりっちゃんよ、どうしてジャージなんだい?」
「……制服、どっかいった」
「まじすか!自我を持った制服!!」
テキトーに言った私も私だけど、サラッとボケやがるおまえもおまえだ。
はあ……。
なんでこんな子好きになっちゃったんだろマジで。
考えれば考えるほど分かんないけど、これが逃げられもしない恋ってやつなんだろうなとは思う。



