「じつはですねっ、すこし前に階段から落ちそうになったことがありまして…!」
「…………」
「そのとき助けてくれたのが2年C組の上鷹先輩でした!!選ばれたのは上鷹でした…」
「………は?」
「あっ、へへ」
カワイー顔してんなよ。
そんな甘い声で他の奴の名前呼ぶとか、ねえ、ふざけんなって。
………やめてよ、そんなの。
「どこが…好きなの。柔道なんて汗くさくて暑苦しいだけじゃん」
「そんなことないよっ?上鷹先輩はすっごく強くてたくましくてっ、格好いいなあって!」
「そーいうのが好きなの?ちがうよね、真琴ってゴツいタイプ無理じゃなかった?」
「いやっ、無理っていうか慣れてないだけだよ…!でも先輩はイメージしてたよりぜんぜん違くて、怖くなくて優しくて…」
終わってる、なんにも入ってこない。
どーしよ。
どーしたらいい?
なにしたって幸せそうな真琴の顔だけが目に映るもんだから、気が狂いそうなほど悔しい。



