「ドキドキじゃなくてねっ、もうすっごいの!ドコドコだよ!ドコドコ太鼓さんが毎日毎日ねっ、もう大変で…!!これってたぶん、そうだよね…?それだよね……!?」
広々としたリビングが、まるで1畳しかない部屋じゃないかと錯覚させてくる重圧感と圧迫感。
グラスに注がれたジュースがまったく減っていないのは、渇いた私の水分がそこに入っていたりするのか。
「ありゃ…?りっちゃん…?聞こえた……?」
「………だ、れ」
「え?あっ、ええっと!2年生のねっ、柔道部のねっ、その……上鷹(かみたか)先輩…です」
2年…?柔道部…?
どこにそんな接点があったんだ。
とくに部活も入ってなければ、マネージャーをしてるわけでもない。
「かみたか……」
「うんっ!!ひゃーーっ」
たしかに真琴のルックスに興味本位で近づいてくる生徒はいるけどさ、常に私だって隣にいるし、こいつかって心当たりくらいはある。
けど、知らんよそんな先輩。
………もしかして藍さんとか?
私を早く失恋させるために裏で工作か何かした……?



