「りっちゃん、これね、真琴ちゃんの一大事かもしれないの」
「…どーしたの?」
ひどいな、私の独占欲。
清々しい顔で「どーしたの」なんて、よく言えたものだ。
「学校が終わったらね…、りっちゃんだけに話したいこと……ある」
「…じゃあうち来る?それか真琴の家?」
「もちろん我が家にお越しくださいませ…!!精いっぱいのおもてなしをさせていただきやすっ」
だいたい照れてるときなんだよね、真琴の謎キャラが炸裂するの。
私だけに話したいことって、すごく嬉しいけど聞きたくない気持ちしかない。
だってなんか、なんか……真琴の顔、すっげー恋する女の子みたいだからさ。
「おーきなくりのー、きのしたでー」
ほら、とうとうこんな童謡まで歌い始めやがった。
そうではありませんように。
そんなこと、ありませんように。
何度も何度も心のなかで唱えながら教室に戻った努力は。
───その数時間後、やはり打ち砕かれる。
「あのねっ、わたしっ、……好きなひと…、できちゃったかも…」
まさにここが、地獄ってやつ。



