「りっちゃん!おててっ」
「…ん。繋いでこーね。階段とかさ、落ちたら危ないだろ」
落ちてからじゃ遅いから落ちる前にこうやって対策しなくちゃ。
なんて言ってるけど、後ろめたさしかない。
純粋に繋いでくれる真琴を騙してるような気持ちにもなってくる。
唇をぐっと噛んだ私は、ふと繋いだ手がだんだん熱を持っていることに気づいた。
「…真琴?」
「かっ、かかかか階段ですとっ!!」
「うん。階段がどーかした?」
「ひゃーーーっ!!あのっ、えっとっ、ズルッてしてね!サッてね!!」
「……はい?」
なにを言ってんだ、こいつは。
必死に何かを説明してるみたいなんだけど、私には1ミリたりとも伝わってこない。
「……階段でなにかあった?」
「なっ、ないぜ!?」
………あったな。
“ありました”って、モロ顔に書いてあるぞ。
普段は顔になんでも出てしまう親友が心配なときのほうが多いけど、こーいうときは話が早くて助かる。



