「…………」
適当にスクロールしていった先、指の動きが止まる。
“男性と女性の両方を好きになるバイセクシュアルと似ているが、相手の性のあり方に関係なく好きになる。”
“そもそも相手の性のあり方などどうでもよく、好きになった人が好き。”
「……だから分かんねーよ」
いちばん自分にしっくりきそうで、結局はしっくりこなかった。
ほんとうに私は“真琴が”ってだけなんだよ。
ただこんなにも専門用語があるだなんて知らなかった。
砕けば砕くほど細かく表現されることを知ったと同時、自分と同じマイノリティを持った人間もどこかに存在するのかと希望さえ抱きつつある。
………だから嫌だったんだ、こーいうの。
「りっちゃん…!!おはっ!おはおはおはよーーうっ!!」
「……うるっせ」
「ああああっ!よかったいつものりっちゃんがいるーーーっ!!」
久しぶりに学校を休んでしまった2日間は、むしろ疲れた。



