「ごめんねえ真琴ちゃん。なんか声もガラガラみたいであの子」
「でも既読っ、いまついてねっ!」
「どうせ半分仮病みたいなものよ。明日にはどうにかしてでも学校行かせるから、本当にごめんね~。これ飴、好きなだけ持ってって?」
「わあ飴っ!じゃない!!」
下の階から余裕で聞こえてくる。
飴で釣ろうとする母親も母親だけど、釣られそうになる真琴も真琴だ。
だいぶしつこそうだから《ごめん、心配せんでマジ》と、返信をひとつ送信。
「うわああんりっちゃぁぁぁんっ」
すぐに既読がついて、彼女がスマホを握りしめていることが伝わってくる。
たったそれだけで嬉しいと感じた自分は、なんて愚かなんだ。
─────コンコン。
数十分後、またもやドアの前。
「むりだって、ご飯もそこ置いといて」
コンコン。
「ねえなに?用件があるならスマホって言ってんじゃん!」
…………コンコン。



