「クラスの女子たちもいつも騒いでるんだけど。それ俺観てないからあまり知らなくて。どうにも……同性同士の恋愛を描いたやつらしくって、さ」
そうなんですね───すら、ちゃんと言えなかった。
寝ている妹に視線を落としつづける藍さんの表情を想像するだけとても怖い。
なんで今、そのドラマの話をしてくるんだ。
どうして私にしてくる。
男同士、ではなく。
なぜ含みある“同性同士”という言葉をあえて使ったんだ、おまえは。
「…そのドラマでも、寝てる相手にキスするシーン。あったみたい」
走れ、逃げろ。
全身に渡る危険信号となって、とっさに飛び出した。
自分の荷物だけを器用にがむしゃらに持って保健室を出る。
「ああ……もう…っ」
本人にバレるより第三者に見られたほうが生きれなくなる、だと。
2度と藍さんには会えない。
2度と、今までどおり真琴の家に上がることだってできない。
もしかするともう、真琴とも話せないかもしれない。
その道を選んだのは私だ。



