「─────……、」
半分だけ開けられていた窓から吹いてくる風が、カーテンを揺らしたことにすら気づかない私は。
それまで指で触れていた場所に、そっと自分の顔を近づけた私は。
──────カタッ。
「っ!!!」
「…あ、ごめん。真琴、寝てる?」
「……あい、さん」
見られた……?
なんで、まって、いつから。
おいカーテン、なんでちょっと開いてんだよ。
おわりだ、終わった、おわりだ。
「体育でケガしたって聞いて。これ、ふたりのカバンと制服」
「………どう…も」
「…いーえ。って、熟睡じゃんこいつ」
セーフと判断して正解か。
手に汗をにぎる私を通り抜けて眠る妹のそば、藍さんの小さな笑い声はすぐに消えた。
「じゃあ…、私はこれで」
「───あのさ、最近めちゃくちゃ流行ってるドラマがあるんだってね」
帰りたい。
何事もなかったのなら、帰りたい。
どうしてこのタイミングで来たんだよって、藍さんを責めてどうなる。
………したいことなんにも、できなかった。



