「マコトってなまえ、男っぽい…。なのにお兄ちゃんはアイだよ?ぜったい逆だもんズルいなあ…」
「……そんなことない。真琴は…、名前もぜんぶかわいい女の子」
デスクに座ったうっちーの後ろ姿。
カタカタとタイピング音を響かせる背中からは、どんな顔をしているかまで分からない。
保険医の先生はなんとなく察することができるのかもしれない。
もしかすると、そういう生徒を今までも見たことがあるのかもしれない。
「へへ、うれしい。…ありがとりっちゃん」
それから小さく会話をかわして、真琴は何度か笑顔を浮かべた。
所々で私の反応が1テンポ遅れてしまったのは、真琴の瞳に映った自分の顔を見てしまったから。
なんて顔してんだよ、私。
それ……ぜったい親友に向けるものじゃないんだけど。
「あのね、りっちゃん」
今度はなに。
またらしくないネガティブ発言してきたら、今度こそ殴る。



