前の学校で真琴は良い思いをしていなかったと。
そこまで詳しくは知らないけど、ふわっと教えてもらったことがある。
人目を惹き付けてしまうことから女子たちにハブられて、男子と話すだけでいろいろ言われるから、ずっと自分の殻に閉じ籠っていたって。
「ち、ちがう。…すみま……せん、」
「謝る必要ない。律ちゃんには俺も感謝してるから。…真琴のこと、そこまで大切に思ってくれて兄貴としても嬉しい」
うつむく私の頭がポンポンと優しく叩かれる。
それだけで見守っていたクラスメイトたち、見事に歓声。
「真琴があんなにいつも楽しそうに笑ってられるのはどう考えたって律ちゃんのおかげだし」
「…真琴、たのしいって言ってますか」
「もちろん。はやくりっちゃんに会いたい~って、毎日」
「……私も、おなじ、です」
「………うん」



