「…ちゃんと言ってくんないと分からないんだよなあ、俺」
いや分かってんだろ。
こんなに私があんたに抱きつくとか、どう見ても異常。
「…私のこと、真琴よりも分かってるのが藍先輩じゃないですか」
クスッと小さく聞こえて、腕のなかでムッと不服になる。
「だいじょーぶ。俺って長期戦は得意だし、きみ以外にキョーミもないから」
もう少し時間はかかるかもしれませんよ。
あなたが期待しているより、待たせてしまうかも。
でも、待っててくれますか。
待ってて……くださいよ。
「だから今はしたいこと我慢する。…そのときは3度目の正直にしよーね、律」
「……なんのことで」
「え?今さらとぼけ───、っ!」
「…これからも私のことだけ見てろよっていう……脅し」
「………最っっ高」
私の人生。
学校イチ人気者なアイドル兄妹にだいぶ狂わされてるけど。
まあ、これはこれで。



