「───ヘアピン、買ってくれました?」
「いーや。買ってないよ」
「…私の頼みはなんでも聞いてくれるのが藍先輩でしょ」
「はは。それは自惚れすぎじゃない」
ちょっとだけ唇を尖らせると、うれしそうにしながら私の隣に腰かけてくる。
私から呼び出すことが増えた。
逆に時間指定されることも、増えた。
「ヘアピンはふたりでまたお揃いのもんでも買えばいーさ」
なんだ、そーいうことか。
彼らしい提案だと、素直にうなずける。
「にしても、ずいぶん満足そうな顔」
「…そう見えるならそーなんでしょーね」
「じゃあそーいうことにしておこう」
ぽんぽんと頭を叩かれるなんてこと、これも慣れたもののはずだというのに。
もっと撫でろと命令したくなるようになった。
ふわっとかすむ香りが、この人だけのものだと認識できるようにもなった。



