「律ちゃん律ちゃん…!大森くん、たぶん告白だから…!」
そこまで鈍感じゃないよ私は。
気を利かせたつもりなのか、空気読めっていう圧力か、クラスメイトの女子が耳打ちしてくる。
「……行く…な、」
「…え?」
「……ドラマのセリフ…、真似てみた」
「なるほどっ!わたしもそのドラマ観てみよっかなー?じゃあ行って参る!!」
離すしかなかった手が無様に空をきる。
この手は好きなひとを掴んではならないと、そろそろ暗示をかけたほうが良さそうだ。
「きゃーー!和泉先輩だっ」
「めちゃくちゃカッコいい~!!」
そんな意識を戻してくれたものは、また違った音色の女子たちの声。
男同士の恋愛ドラマに騒いでいたかと思えば今度は人気者な先輩に一直線だったり、ほんと忙しーよおまえら。
「あれ?真琴は?」
「真琴ちゃんなら今さっき隣クラスの男子に呼ばれて…!」
「そーなんだ。じゃあ律ちゃんは……、いたいた」



