かわいいくせに恨まれない。
その鈍感さは、憎しみを生まない鈍感さ。
私は最低だ。
さいていだ、サイテーなんだ。
友達として喜ぶべき境遇に納得してないだなんて、なんて奴だよ。
もし真琴が女子たちから嫌われていたら、私だけが味方になってやれるのにって。
女子たちから僻(ひが)まれていたら、私だけがそいつらから守ってやれるのにって。
「りっちゃん、なんか呼ばれちゃったから行ってく───おわっとお!!」
無意識じゃない、意識的。
真琴の細いうでを掴んだのは、狙ってやったことだった。
「りっちゃん…?」
「行かんでいい」
「えっ、でも呼ばれてるって…」
「ここで聞けばいーじゃん」
どーせ告白だよ。
とくに関わったこともない男からされる告白なんか迷惑なだけでしょ。
あいつらは真琴のことそこまで知らないくせに、“自分の自慢になるから”なんて理由だけで付き合おうとするような奴らなんだ。



