学校イチ人気者なアイドルに恋する私。を、なぜかそのお兄さんが愛してくるんだが。





でも、さすがドラマだなって思う部分ばかりだ。


周りがバカみたいにあったかい。

偏見とかいっさいなくて、受け入れてくれるあの感じがさ。



「んで、おまえバイト先の男に狙われてんだろ!」


「やめろって!まじ背筋凍るからな!男の上目遣い猫なで声なんか、誰得なんだよ!」


「ギャハハハッ!!」



現実なんてこんなもん。

現実にはないから、ドラマで夢物語を見せて視聴者をトリコにする。


少女マンガと一緒だよ。


壁ドンとか顎クイとか言うけど、それはイケメンだから許されるだけ。



「真琴ちゃーん。B組の大森くんが呼んでるよー」



ドラマの感想大会で盛り上がっていた女子のひとりが、私と向かい合う真琴に声をかけてきた。



「わたし…?なんだろっ」


「なんだろって!わかってるくせに~!このこのっ」


「前は“好きな食べ物教えてください”って聞かれてねっ、もつ鍋って答えたんだ~」


「もつ鍋って…、あははっ!もうちょっと可愛いのなかったの!!」