「…りつ」
「っ、だからも…っ、なんでって……っ」
ガクンッと膝が崩れて、私を支えたまま彼もまた一緒にしゃがみこんだ。
なんで、なんでよ、なんでなの。
うまくできない自分なんか死ねばいい。
伝えたいこと何も伝えられない自分も、こうやって壊すことしかできない自分も。
もっとうまくやれたんじゃないか、
他に方法があったんじゃないか。
あとから後悔してばかりの、こんなどーしようもない自分なんか。
「俺を好きになりなよ、早く」
ここまで感情をむき出しにした私に、この人もまた「やっとだ」という顔をした。
「好きで好きでたまらないんだって。さっきみたいなとこも……なんで俺をこんなに夢中にさせるんだよ」
気持ち悪いって言えよ。
普通じゃないって、おかしいって。
どうして私を肯定してくるの。
肯定なんか、すんの。
「甚平、かわいい」
思えば真琴ばかりだった。
私の毎日はいろんな意味で真琴ばかり。
すれ違う友達も真琴。
屋台のおっさんも真琴。
私自身も真琴とか言ってるなかで、私を見て「かわいい」とか。



