「うわ…ッ!!なんっ、いてえ…!!」
「誰だよおまえ…!!うぐ…っ!!」
「やべ…っ、びくともしねえんだけどこいつ……!!」
ひとりは、相手の懐に入って身体ごと地面に叩きつける。
もうひとりは、容赦なく男を殴っていた。
新しい影たちと匂いを感じ取っただけで、私だけじゃなく真琴にも安心が混ざった音がする。
「俺の彼女に何した」
「なっ、なんもしてねえって…!!」
「嘘つくな。もう1回押さえ込まれたいか」
「マジなんだって…っ!!」
さすが柔道部だよ。
押さえ込み方からもう、完璧だ。
「そのへんにしときな上鷹くん。たぶん未遂だから」
「そんなの分からないですよ」
「されてたらもっと取り乱してるはずでしょ。…それより真琴は心配じゃないの?」
ハッとした上鷹先輩は、胸ぐらを掴んでいた男をドサッと放つ。
私たちのそばに息を切らして向かってくると、すぐに真琴の腕を引いて抱きしめた。
途端にわんわんと泣き出す真琴の声が、彼の腕のなかから籠って聞こえてくる。



