さっきまでピシッと着付けられていたはずの浴衣がはだけている。
この距離でも分かるほどガクガクと震えている細い脚と、うずくまりながら声にならない声で真琴は誰かの名前を呼んでいた。
「こわっ、ひっ……、こわいぃ…」
全身に込み上げる怒りを説明するなら、ただひとつ。
私の真琴に何をした───だった。
「警察…、呼ぶぞ」
「おいおい、どーする?やべー、俺たちパクられるってよ」
「またかよー。てか、この子もふつーにイケんじゃん!」
駆けつけた人間が女だったからか、「警察」という言葉にすら怖がっていない。
もわりと広がるアルコールの匂い。
痛みまくりの明るい髪に、オシャレのつもりで生やしているんだろう髭。
片方は吸っていたタバコを平気で地面に落とすわ、見るからに地獄のような奴らだった。



