「……あれ…?真琴…?」
それは、トイレから戻ったとき。
激混みのトイレからやっと戻って、待たせているはずの場所。
そこに真琴の姿はなかった。
《ただいま電話に出ることができません。発信音のあとにメッセージを───》
なんで出ないの……。
探そうにも人が邪魔すぎるし、そもそもお利口に待ってろって言ったじゃん。
変なやつに声かけられても“彼氏と来てる”ってウソでも言えって。
「っ、さいあく…!!」
こうなるならやっぱ一緒にトイレ連れていくべきだった。
浴衣だから行けないとか言われても、そんなん知るかって。
女の私でしかできない守り方、できたはずなのに。
『…もしもし』
「真琴がっ、真琴がいなくなって…!!はぐれた…っ」
危ない目に遭っているかもしれない。
プライドも罪悪感も、今はそんなの捨て去ってお兄さんである彼に思わず電話を入れた。



