今日はパソコン作業をしないみたいだ。
椅子に座ってくるくると遊ぶような仕草は、夏休みだから彼女も教師モードを抑えているということだろうか。
「んー。“振られた”ってより、それは“諦めた”って感じだな」
「……あんなの諦める以外の選択はないでしょ」
「…まあ、なー」
グラウンドに散らばる野球部を見つめて、うっちーは独り言のように言った。
「叶うか叶わないかはジャッジ入るけど、伝えることは自由だとあたしは思うがねえ。どうなんでしょ」
「…伝えて壊れるくらいなら、」
「それは伝え方による。そんな顔するくらいなら当たって砕けるのも手じゃないか?16歳、どこでだってやり直しは効くんだからよ」
「……効かないですよ。やり直しなんて、できないよ。気持ち悪がられてドン引き、待ってるのは破壊だけ。…わかるでしょ」
「なるほどな。つまりおまえが好きになった女はその程度の女ってことか」
らしくないよ、今日のうっちー。
そーいう断定的なことはぜったい言わなかったのが内野先生の良さだったってのに。
「せーと。アイス溶けるぞ」
「……やば」
保健室がこんなにも居心地悪いと思ったのは初めてだ───。



