「上鷹 汀(かみたか みぎわ)」
はい、不味くなった。
なぜその名前をつぶやいたし。
大事に食べていたアイスを強めにガリッと砕いて、苦虫を踏み潰したような顔をあえて見せる。
「だってよ。あれ、どう考えても読めんだろ」
「……たしかに1周してキラキラネームですよね」
「汀(なぎさ)って書いてミギワ…か。すごいよなあ、親もよく付けるわってか、よく思いつくもんだわ」
「…ごめんうっちー。キョーミないわ」
「ふはは。すまんすまん」
どうして親友の彼氏のフルネームなんかを改めて聞かなくちゃならない。
真琴からも毎回と言っていいほど似たようなこと聞いてんだから、もうほんと勘弁して。
「和泉 藍もさー。オシャレな名前してるよなあ。イマドキの子はもう名前からすげえわ」
「……まあ」
「でもやっぱ、瀬戸は真琴がいちばんか?」
「…………」
うっちー、そんな嫌な遠回りしてくるなら直球で来てよ。
うっちーにならもう話してるし、隠す気もないってば。
「振られました」
「お、とうとう伝えたのか!」
「…伝えてはないです…けど」
「なら、振られてないだろ」
「いや。彼氏ができたんで振られてます」



