「うっちーは今日も学校に来るんですね」
「まったくだ。社会人に夏休みなんか無いからねえ」
他愛のない話をしながら、気づけば保健室に一緒に来てしまっていた。
どこで時間を潰そうか困っている生徒にベストな場所がそう、保健室。
「瀬戸、いいもんあるぞ」
「んあ?」
「ゴミは自分で持ち帰る約束だが」
と言いながら渡してきたアイス。
ちょうど保健室に設置されている小型の冷蔵庫に入っていたみたいで、私が好むシンプルなソーダ味だった。
「え、まじ」
「はやく食っちまいな。赤点取ってないにも関わらず補習に来た結果、なぜか追い返された不憫な瀬戸へあたしからのお詫び」
「あざす。ラッキー」
受け取る前には残飯処理のように渡されたけど、16歳にはうれしいサプライズだ。
アイスだけであれば家でも食べられるし、どこでも買えるけど。
学校で食べるアイスってのが特別感でしかない。
これはぜったい夏休み限定だろーし、今日限定だろーし、限定って言葉が嫌いな人間はそうそういないはずだ。



