アイスのお礼も言ったし、食器も片付けた。
目的は果たせたと階段へ向かおうとした私は、なぜか再び引き留められる。
「律ちゃんさー。…好きな子とかって、いたりする?」
「…………」
こういう話は苦手だ。
というか、嫌い。
誰に話すこともできなければ、適当に答えるってのもしたくない。
「学校で気になる男とか、どう?」
「……あんまり」
「まあそんなつるむタイプじゃないか。なら聞き方変えよっと。…どんなやつが好き?」
めんどくさいほどグイグイくるな……。
わりと表情で「聞くな」と言ってるつもり
が、さすが学校イチ人気者な“和泉兄妹”の兄のほうには効果ナシ。
「……まこと、」
「え?」
「…みたいな、子が……、まあ」
なんだそれ。
咄嗟に言って焦るくらいなら、テキトーに言っとくべきだった。



