「……一般シートめちゃくちゃ空いてますけど」
「うんうん言われてみればそうにも見えるねえ。もしかしてみんな未知の理由でキャンセルし───」
「おい」
「ごめん」
トイレに行っているあいだにチケットを取ってくれて、気が利くひとだと関心していた少し前の私へ。
それってただの大きな勘違いだから。
迎えた放課後、映画館に入場したものの、私たちが座ったシートはカップルシートとかいう罰ゲーム。
本人いわく「ここしか空いてなかった」などとほざいていやがったが、内容は結構ガチめのホラーともあってガラ空き。
「いやまあ、こっちのがゆったりくつろげるかなって。あは」
「………はあ。今さら変えるとか面倒だし、もう始まるから我慢しますけど」
「やさしい大好き愛してる」
「だまれ」
それまでは軽く聞こえていた言葉も、いよいよ信憑性を増してきた。
どんな反応すればいいか困るからほんっとやめてほしい。



