「…伝えなくていーの?律ちゃんよ」
「……最後の足掻きとして、ですか。バカだろそんなの」
「俺はそうは思わない」
肩がぶつかった。
いいや、わざとぶつけてきた。
どうしても顔を伏せてしまう私に、藍さんはただ温かな重みだけを与えてくる。
戻った制服。
スカートがどことなく恥ずかしい。
なれなかった“男”という性別は、私にはとてもじゃないが難しすぎた。
「これは紛れもなく純愛だよ。純粋“すぎる”愛で、純愛。…いーじゃんかそれで」
ひとりだったらたぶん、泣いていた。
今のセリフが、たとえばたまたま聴いていた音楽から流れてきた場合。
ぜったいヨユーで耐えられなかった。
「これ嫌味に伝わったら申し訳ないんだけど。性別すら考えず誰かを愛せるって、相当すごいことだよ」
それを“純粋すぎる”に変換できてしまうこの人を、羨ましいと思った。
純粋なんて私にはいちばん程遠い言葉だってのに。
ましてや、愛、とかさ。



